強さと優しさ

きれいに書きすぎずゆる〜くやると言っときながら、結局ある程度校正してブログ書くのに時間かかってるのでよくないね

これからはtwitterの延長線のイメージで気軽に書き殴って行くことにします。多少文章が乱雑になるかと思いますがご容赦ください。

 

さて、前回の最後に紹介した「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている意味がない」という言葉について今回は少し触れてみる。

 

私は人間が生きていく上で必要な要素は「強さ」と「優しさ」の2つに集約されると思っている。「強さ」は能力値、地頭、度胸などなど、「優しさ」はそのままの意味のイメージだ。人はそれぞれについてパラメータを有し、例えば「強さ」が大きいが「優しさ」は小さい人は、「仕事は出来るが他人に対してめちゃくちゃ厳しい人」となる。

このパラメータは人によって様々である。いずれの要素も人間生存上必要不可欠であるからこそ残っているわけだが、置かれた環境との関係について考えてみるとその傾向が見えてくる。

 

チンパンジーボノボ

皆さんはチンパンジーはもちろんご存知だろうが、ボノボについて耳にしたことはあるだろうか。ボノボは類人猿の一種でチンパンジーと並んでヒトにもっとも近縁な生物だ。ボノボチンパンジーは外見はそっくりだが性格がまるで違い、コンゴ川を挟んで北側に攻撃的なチンパンジー、南側に平和的なボノボが生息する。(従ってチンパン野郎という罵り言葉は列記とした侮蔑用語である)

 

ボノボチンパンジーは外見こそそっくりですが、まったく異なる性質をもっています。ボノボの特徴は「平和的」ということです。チンパンジーは発情したメスを巡ってオスが争います。オスによる子殺しや共食い、集団内での殺し合い、集団間の殺し合いがよく見られますが、ボノボにはそういう争いがほとんどありません。

古市 剛史:水の風土記 人ネットワーク│ミツカン 水の文化センター

 

さて何が彼らをそのような性質足らしめたのだろうか?以下に一つの通説を示す。外敵が多く餌も少ないコンゴ川北側に生息してるチンパンジーは生存必要性から攻撃的なオスがモテる。その一方で外敵が少なく餌も豊富な南内陸側に生息してるボノボでは、メスはオスを選り好みする余裕が生まれるため優しいオスがモテる。各世代のこの繰り返しにより、別種の性質が生まれたというものである。

 

【人間社会】

猿とヒト社会を同一視はできないが人間社会を見返してみるに、同様の傾向は見られないだろうか?

すなわち世界レベルで見れば途上国スラム街では攻撃的なギャングが幅を利かす一方で、先進国タワマンでは優しい金持ち坊ちゃんが多い傾向にある。日本の身近なレベルで見れば地方の荒れた学校ではヤンキーがカースト上位に来る一方で、都心の進学校では頭がよく優しいタイプが一目置かれる存在になる。家庭レベルでみても貧困世帯になるほどDV事件が多くなる。

すなわち生存の危機に近づくほど「強さ」が求められる一方で、危機が少なく一定程度安定している場合は「優しさ」が求められる。

私がこれまで接してきた人においても、やはり出身がある程度の階級以上の人はそれなりに優しい人が多かった。自分を性格よく優しいと自覚できる人は何だかんだで恵まれた環境にあるのだろうと思う。

 

昨今の若い人は草食男子とか物欲がないとか言われがちだが、裏を返せばそれだけ日本が裕福な世界になったということなのだろう。過去途上国が先進国になった事例でも国民性の変化は確認されている。必死に努力して強さを得なくても、それなりの体験やモノが手に入ってしまう時代。かつての昭和の人間と今の若い世代とのギャップはこの辺りにある気がする。(興味深いことにチンパンジーの方がボノボより集団協力行動は得意である)

 

国民総草食化とはいえ、特に性格の優しく育ってしまった私のようなタイプは、社会人になってもある程度優しさのある、すなわち生存に対して余裕のあるコミュニティに属することが必要になる。ブラック企業や落ち目企業に入るのは論外にはなるが、就活の際は出来るだけ安定志向ですぐには死なない企業を選んだつもりである。恋愛においても実家の太い人同士で繋がりやすいのは、ある意味当然の帰結なのだと思う。

 

【これからの社会】

今の日本では平和的な性格のままでも問題ないかと思われがちだが、この豊かな生活は何年か先に確実に終わりを告げると思う。

 

ひとまず喫緊の課題は日本円のインフレである。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

詳細は上の記事を読んでもらえば分かるが、とにかく日本円の価値は低下し、物価は著しく上昇する。日本円に対する信用は低下し、ハードマネーへの回帰が起こる。

ならばドルを買えば良いのか?そうはならない。ドルの方が円よりまだましとはいえ、必ず価値が暴落する日がやってくる。以下はレイダリオ氏の本の紹介だが、覇権国としてのアメリカは衰退期に移っている。

【独自翻訳】レイダリオ新刊!投資の歴史と、帝国の栄枯盛衰について - YouTube

アメリカと中国の争いは価値観の争いでもあるので、簡単に覇権国が移るとは思わないが物事に絶対はない。既に基軸通貨としてのドルの地位を低下させようと、中国は人民元建て決済を推し進めているしつい昨日にはBRICs通貨構想が発表されていた。

 

また巷ではつみたてNISAでS&P500を長期積立しておけばいつかは必ず儲かるという風潮があるが、私はそうは思わない。米国株はたしかに40年上がり続けているが、それは1970年代にインフレ対策で上げた金利を40年かけて下げ続けているからでしかないからだ。

米国株でも日本株でも、「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」という命題は普遍的に正しいように観測できる。ただこれからの相場は物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。むしろ金利は高い水準で長期間維持されるだろう。

そういう状況下で株式市場はどうなるか。米国株は40年上昇相場を続けてきたのだから、その40年間より前の期間は長期の下げ相場だったということである。米国株が数十年もの間下げ相場だった期間は普通に存在する。100年の金融史を真面目に勉強すれば見えてくるのは、日本経済の失われた30年は日本特有の現象ではなく、緩和バブル崩壊後、緩和を行わないか、あるいは行えない場合に普通に起こる現象だということである。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

とはいえ5月のFOMCは0.25%の利上げに留まり、今年中に利下げするのではないかという観測も出ている。これ以上金融引き締めすると経済が死んでしまうのでスタグフレーション覚悟で金融緩和を続ける可能性もある。いずれにせよ米国で1970年代で起きたような景気後退と株価暴落が起きても全く不思議ではない。何なら歴史の逆回転が始まっている今の条件下では、さらに悪化するかもしれない。日本もそこそこ終わった国だがアメリカも少しずつ終わりつつある。

 

あと平和ボケした日本人にはあまり想像がついていないのかもしれないが、アメリカと中国を軸にした戦争は近い可能性がある。中国の金準備高と外貨準備高はどんどん上がっているし、軍拡も進めている。日本もトマホーク購入、総火演一般公開中止、防衛費増額など対策は取ろうとはしている。ただ戦争はカネがないと出来ない。このままアメリカの財務状況がさらに悪化するまで待ってから仕掛けられた場合、結局ハイパーインフレになる可能性もある。

 

株債権は微妙、ドル円はだめ、人民元も買う気になれないということを考えると、価値の保存ができる資産としてこれからの時代はコモディティが強いのだろうなと思う。ゴールドが過去最高値を連日更新しているのもその部分が大きいのだろう。資源や食糧を買うのも一つの手だ。個人的に注目しているのはビットコインである。日本では取引所ハッキング事件とクソみたいな税制制度のせいでなかなか普及していないが、お金の本質を考えてみるととてつもなく素晴らしい(国家にとっては最悪の)発明だと思っている。まだボラリティが大きいのが難点ではあるが時間が経つにつれて安定していくはずだ。何事もなければ10年後には数倍に価格が上がっているだろう。政府の政策によらず、手軽に価値の保存が出来るということはこれから大きな意味を持ってくる。

 

政府は個人の資産を搾取しようとしてくる。それはインフレ政策、税金、金利引き下げなど様々な形で行われる。だが今の日本の財務状況と社会環境を考えればそうせざるを得ないのが現状であり、受け止めなければいけない現実でもある。残念ながら遠からず未来はさらにひどくなるだろう。この先の日本の未来に絶望しながらも、脱出するほどの勇気もないので、個人に出来ることは有事の際にひたすらリスクヘッジできるよう行動することしかない。将来の世代は今よりさらに昔の世代を恨むことになるのかもしれないな。願わくは予想が外れることを祈りつつも、ひとまず今のうちにいろいろな経験をしておこう。「強さ」も少しずつ身につけておかないと。

 

いつか気が向いたら「優しさ」の部分について書いてみる。それではまた今度。